Tom Petty’s Final Interview / L.A. Times (2017/10)

9月27日の夕刻(ツアー最終公演の2日後)、Los Angeles Times 誌の Randy Lewis 記者が Tom の自宅レコーディング・スタジオでインタビューを行っていました。これが Tom の生涯最後のインタビューとなってしまいました。インタビュー記事の全文をお届けします。(読みやすいようにO&A形式に編集しています。)

2017年10月4日 Los Angeles Times 電子版
Tom Petty’s final interview: There was supposed to have been so much more

最近を振り返っていかがですか。

この1年は我々にとって素晴らしいものだった。これまでなかったような激励を受けたよ。

The Shelters の2作目をプロデュース予定なのですね。

彼らはツアーに1年間出てて、最近、彼らと集まったところなんだ。彼らは新曲を聴かせてくれたけど、圧倒されたよ。

衛星ラジオ SiriusXMでDJを務める<Buried Treasure>について教えてください。

<Buried Treasures>をやるのは大好きだよ。僕が昔やってた音楽をまた聴かせ続けてくれるんだ。僕はいつも(音楽を)聴いているよ。家に帰って、ソファーや床に横になって、ただアルバムを聴いて夜を過ごしているんだ。僕にとっては映画(を観ること)みたいなものだ。今も本当にそうしているんだ。ラジオ番組をやることで、座って音楽を聴ける時間が保証されているのさ。

ツアー後のオフについて教えてください。

みんなに言われてるんだけど、僕は少し休むことを学ばなきゃいけないんだ。ある一定期間働くのをやめなきゃいけない。でもそれは難しいよ。プロジェクトがないと、何もつながってないように思うんだ。(休むことが)僕にとってそんなに健康的だとも思わないんだ。ベッドから起き上がって、(起きる)目的があるのがいいんだ。

作曲について教えてください。

釣竿を水の中に入れて待っているようなものだから、それは孤独な作業なんだ。作曲を行っている、その時々の部屋に入って、手応えがあるまでずっとそこにいるんだ。僕は釣りに例えるんだけど、魚が船にあるかないか、ということなんだ(笑)。時には何も釣れなくて帰るけど、時には大きな魚が捕れるときもある。

僕にとって(作曲は)ある意味そういうことなんだ。曲が仕上がると、とても興奮するよ。その曲を手に入れたと知ったら、いつもそれで興奮しているんだ。

スタジオに入って(新曲を)バンドが演奏するのを初めて聴くのはいつもワクワクするんだ。みんなが演奏するとき、たいていは僕が想像すらしていなかったものになっているんだ。うん、僕はスタジオが好きだ。ライヴで演奏するのと同じくらいスタジオが好きなんだ。毎日スタジオに入って、今もそれを続けているよ。

インタビューの直前に Benmont に会ったところ、「バンドをまた早く呼んでほしい、って Tom に伝えておいて」と言われました。

(笑)彼も集まるよ。たぶん、彼は今晩(家を)出て(集まって)くるよ。それが大好きなんだ。だから僕たちは続けていて、しかもうまく続けているんだ。

もし僕らの誰かが倒れたら… あるいは誰かが亡くなったら…(こんなことを言って)神様、許してください… あるいは病気になったら[言葉を詰まらせる]… 僕たちは年を取ってきている。もしそうなったら僕たちは辞めるよ。もし誰かが出来なければ、それは終わり、ということだ。

引退について考えていますか。

60歳代後半になると、ほとんどの人は働いていないよ。[誇らしげに](音楽のおかげで)僕たちは若くあり続けている。昔から知っていた人たちに今会うと、みんな僕とは見た目が違うんだ。(音楽のおかげで)僕たちの考え方も気持ちが若いんだ。

40周年ツアーの後のツアー予定はありますか。

とても長いツアーをやるのは過酷なんだ。今回のツアーはわりと長かった。ときには肉体的にきついよ。でも、客席の明かりが落ちて、歓声が聞こえると(体調は)良くなるんだ。「よし、やるぞ」って気になるんだ。

ツアー中、咽頭炎で公演延期となったことで動揺しましたか。

ああ、だってもう何年もコンサートを飛ばしたことはなかったからね。突然のことだったから、かなり落ち込んだよ。医者には「記録を見てますが、体調はずっと崩していませんね。病気になったのは17年以上前です」と言われた。「僕は病気にならないんだ」といつも言ってたよ。でも、そういうことは起きるね。「(病気にならなかったという)素晴らしい実績は立証されていますが、あなたは所詮人間のようです」と医者は言ってたよ(笑)。

ツアー中は体調に気を付けてる。シンガーの場合、責任を持たなくてはいけないんだ。肉体的なことで、体調を維持しなくてはいけないからね。スポーツ選手と同じことさ。十分に眠って、正しく食事して、声を酷使しないこと。あまり沢山は話さないようにするんだ。翌日にショウがあったら、バーに行って3時間も話さないことだ。僕はこれらを直感で学んだけど、長年のツアーから身につけたものなんだ。

6ヶ月間のツアーの後、少しだけそういう原則を忘れそうですよね。

ツアーから離れると、次の日のために自分を守らなきゃいけないと心配しなくてもいいんだ。

長年活動している Heartbreakers との活動は特別なものですね。

Heartbreakers とは、僕にとって神聖なものだ。神聖さがあるんだ。それがなくなったら、僕は興味を失ってしまうけど、なくなることはないだろう。僕らは本物のロックンロール・バンドなんだ。

いつもそうだった。僕らが育ってきた時代には(ロックンロールは)ある意味で宗教だった。商業ではなく、それ以上のものだった。より大きなものだったんだ。人々を動かし、世の中を変えること… 僕はロックンロールを信じていたし、今も信じている。もっとも純粋な形… 純粋な形で信じているよ…。

お互いのことを長年よく知っているバンドがあるのは珍しいことだよ。この神聖さが続く限り、僕は(バンドから)最高のものを導いていきたいんだ。

【Depot Street: vol.226】(2017 年10月11日)掲載  翻訳: Shigeyan