Steve Ferrone Interview(No.3)(2014/11)

07/03/2015    投稿者:

Nathan East のツアーのメンバーとして来日していた Steve Ferrone が日本の TP&HB ファンのために話を聞かせてくれました。2008年2月と9月に続いて3回目のインタビュー。東京公演のリハーサル前に滞在先のホテルにて時間を頂きました。

日本にはよく来ていますよね。

今回はたぶん21回目… かな。頻繁に日本に来ている時期があったけど、ある日、突然無くなったんだ。Heartbreakers(への加入)で止まったんだ。アメリカ以外にはあまり旅しないからね。

『Hypnotic Eye』はとても素晴らしかったです。チャートも上昇しました。

そう、1位だよ。とても満足できることだ。僕たちは若者ってわけじゃないからね。そういう僕たちがああいうレコードをつくって、成功を収めたということは、とてもとても満足だね。

世界のほかの音楽は、あのアルバムとは違いますからね。

そうだ。幸いなことに、一緒に座りながら一緒に演奏したということもね。単にレコードを作ったというだけじゃなくて。

TomとMikeのインタビューで「Clubhouse の良い雰囲気が素晴らしい音楽を創りあげた」とありました。

そうだね。これは今後さらに変わるかもしれない。Tomは自分のスタジオ(Shoreline)を仕上げたからね。前はボーカルとギターを録音できる機材だけだったけど、部屋を整えてドラムセットを入れたんだ。これからレコーディングのアプローチを変えるかもしれないね。Clubhouse も使うとは思うけど、スタジオのように録音できる、もう一つの場所になると思うんだ。

今のところ、どちらがより快適ですか?(笑)

どちらも Heartbreakers の陣地だけどね(笑)。(2013年のツアーで)(ロサンゼルスの)Fonda Theaterと(ニューヨークの)Beacon Theaterで演奏して、僕たちの演奏の仕方が変わったと思う。一部の曲を違うように演奏したことで、新作を仕上げる際にバンドが別の次元に上がったと思うんだ。

メンバーは Clubhouseで演奏するのを楽しんでいたのですね。

そうだね。ツアーが終わってからたった1週間でレコーディングに戻ったけれど、ツアーの新鮮さ、強さが残っていたんだ。

今年のツアーはどのくらいのリハーサル期間があったのですか。

音楽だけのために Clubhouseで1週間… どういう曲を演奏するか考えた。そして、プロダクションなしで Soundstageで1週間。大きな環境でどう聴こえるか、クモの巣を取り払う意味でね。そして、プロダクション… 照明とかを入れ て1週間。邪魔するものがないかを確認する意味でね。でも、1週間と言っても月曜日から金曜日までだから実際は5日間だよ(笑)。だから全部で15日間だ。

15日間で何万人の前に出るわけですよね。それは凄いです。

Hearbreakers がクモの巣を取り払うにはそんなに時間がかからないよ。リハーサルに入って最初の1時間ですでに演奏を始めているよ。それからは毎日3~4時間、演奏するための練習。実力を戻すだけのことなんだ。

『Hypnotic Eye』の中で Mayu は”Fault Line”が特に好きなんです。

好きなんだ! その曲はリハーサルしたよ。

でも、演奏したのは1回だけでセットリストから落ちています。

演奏したんだったっけ?リハーサルしたのは覚えてるけど。

最初の頃のショウです。サンディエゴだったでしょうか。1回だけだったと思います。(正しくは2公演目のアイダホ州ボイシのショウでした。)

サンディエゴで演奏したことすら覚えていないよ!僕より詳しいよね!

セットリストから落ちた理由は何だったのでしょうか?

わからないね… 新作からリハーサルしたのは6曲、Tom はどれがセットリストに合うか見たかったと思うんだ。それでうまく合ったものを入れたんだ。

新曲と昔の曲の組み合わせは絶妙でしたね。

今となっては、新しかった曲は昔の曲になってるよ(笑)。

今回のツアーのハイライトは?特定のショウを覚えていますか?

ショウは全体として組み合わさっている。僕にとって(ニューヨークの)Madison Square Garden はいつも際立ってる。(コロラドの)Red Rocks (Amphitheater) と(ワシントン州の)The Gorge も。これらは特別な場所で いつでも大好きなんだ。でも全体を見ると、特に良いとか悪いということはなかった。バンドはいつも安定して良い演奏をしたし、今年は特にそれを強く感じたね。アルバムがうまくいったためかもしれない。

ということは、忘れたいショウはなかったんですね?(笑)

なかった(笑)。でも1回あったかな。モニターに問題があって。何かの調子が悪くて、ひどいノイズが出ていたんだ… うるさくてね。でも曲の途中だったから向きを変えられないし、自分は動けないし。ドラム・テクニシャンはその日たまたま賢くなくて(笑)。スピーカーをどけて欲しかったのだけど、彼はそれを直そうとしていたので(そばに)いなくてね。ひどい耳鳴りがして、こうする[耳をふさぎながら演奏するジェスチャー]しかなかったんだ。演奏をやめるわけにいかなかったからね。でも、その1回だけだったかな(笑)。

『Hypnotic Eye』には新しい色彩が色々とありますよね。ファズ・ベースの利用など、新しい実験があります。

新しい試みだよね。録音を聞き返したとき「こんなの聴いたことがない、これは他と違うよ、気に入った」と言ってたんだ。同じものを聴くのは退屈だけど、新鮮で違うものを聴くのは良いことだ、誰もやってないことでね。

そのアルバムでもっとも好きな曲は何ですか。

うーん…(笑)… ごめん、曲名はほんと苦手なんだ。(ツアーで)演奏した(新作の)4曲って何だったっけ?

“American Dream Plan B”、”Forgotten Man”…

“Forgotten Man”は良かったよね。最後のロックする感じが好きだよ。一番好きな曲ではないけど(笑)。
“Shadow People”は大穴だよね。1回か2回しか演奏していないんだ。アルバムを聴いて「まあまあかな」と思ったけど、ツアーで演奏し始めてからすごい力強さを感じ続けて、演奏するのが好きになったんだ。観客もそれを感じていたのが見えたんだ。僕は強弱をつけるのが好きだから、そういうのは加えたけどね。

今回のツアーでは、”So You Want To Be A Rock’n Roll Star”と… Paul Revere の”(I’m Not Your) Steppin’ Stone”も演奏しました。Paul Revere の曲だと言わなきゃいけないですよね、Monkees じゃないんですよね(笑)。

そう(笑)、Paul Revere & the Raiders だ。Tom が加えることを決めて、Paul Revere が亡くなる前から演奏してたよ。他の人の曲を演奏すると、その人が亡くなるんじゃないかって心配になったよ(苦笑)。

亡くなったのはツアーの最後のショウでしたっけ?

いや、もう少し前… ダラスじゃなかったかな。

そのツアーが終わって来日して、Nathan (East)の曲を演奏しているわけですね。

そうだね。

“Get Lucky”も演奏しますか? Daft Punk の曲です。

そう。いや、違う。演奏するのは “Happy”だよ… あれ、他は何だったけ。”Get Lucky”は演奏したっけ? “Lucky”って曲はあったよ。

“Get Lucky”は、Nile Rodgers がファンク・ギターを弾いてる曲ですよ。

あ、多分(爆笑)。曲を聴いててもタイトルが分からないときがあるんだ。”Happy”が”Happy”(という曲名)なのは演奏するまで知らなかったんだ。「これが”Happy”なんだ」ってね(笑)。そこにはあまり注意していないんだ。

Nathan East とのツアーはいつ頃決まったんですか?

(TP&HBの)ツアーが始まった頃、Nathan が電話をくれたんだ。7月だったかな。Nathan には(今回のツアーのことを)すっかり忘れてたと言ったんだ。一緒に演奏することは言われてたんだけど、いつなのか忘れていたんだ。今回の(TP&HBの)ツアーではいつも以上に家を離れていてね。普通は3週間旅して1週間帰ってだけど、4週間旅して3~4日戻ってだったんだ。家に戻って「家はいいな」とリラックスしてたら(笑)電話が鳴って。「パスポートが要るよ」「韓国へ行くよ」って言われたんだ。「あ、そうだよね… いつ?」って聞いたら「2週間後」って言われて、「2週間か…」って(笑)。

(Nathanのバンドで)リハーサルはありましたよね。

それは一日だけだよ。譜面を読んでね。今はまだ譜面を使ってそれに集中してるけど、ツアーが終わるころには見なくても済むようになって、他のこともできるようになるんだ(笑)。譜面を読めることの利点は、そうやってショウが出来ることなんだ。
ところで、ショウには来るの?

明日の2回目のショウに行きます。

みんなのためにエネルギーを取っておかないとね(笑)。焼肉も寿司も食べたからね(笑)。

一晩に2ショウというのは、かなりの労働力ですよね。

… エネルギーを入れているんだけど、(Heartbreakersとは)違う種類のエネルギーだよ。Hearbreakers のショウを一晩で2回演ったら死んじゃうよ(笑)。

(TP&HBと比べて)The Straits (*1) と演奏するのは(演奏が)良いとき悪いときもありましたか。

Straits(の活動)は終わったんだ。そのバンドから別のバンドができて今はそちらで演奏しているんだ。Straits は Heartbreakers ほど準備してツアーに出なかった。Heartbreakers はとてもプロフェッショナルだからね。Straits ではいろいろなことを決まった方法でやらなきゃいけなかったけど、僕はそれに賛成しなかったから辞めたんだ。そうしたら(中心人物の)Alan Clarke も辞めてね。今は(バンドに残った)Chris White(sax) と Terrence Reis(vo, g)が続けて<Dire Straits Experience>って名前に変えたんだ。でも、僕は Dire Straits をもう十分体験(experience)したよ(笑)。Phil Palmer(g)が<Dire Straits Legends>(という新バンド)をやろうと連絡くれたので、僕はそちらに加入した。John Illsley(b)と一緒にね。あとは… サクソフォンの Mel Collins。

元 King Crimson の、ですね。

そう。彼も DS にいたんだ。あと… 名前が思い出せなくてね。[携帯を調べ出す。]

その携帯とともに世界を廻ってるんですね。

そうだよ!Danny Cummings がパーカッション。Alan Clarke も加わると思うから、DSの元メンバーが5人集まるんだ。Mark Knopfler(DSの中心人物)の曲は素晴らしいけど、DSの曲だけじゃなく新しいオリジナルの曲をつくることが楽しいんだ。みんな良い友達で、一緒に演奏するのが楽しいよ。Straits は良いバンドだったけど、バンドの一部の勢力がDSだけを演奏したいと言って、でも僕はそうしたくなかったんだ。John Illsley も Phil Palmer もプロデュースしたり新曲を書いていたりする。僕にとってはそちらの方が楽しいんだ。

Heartbreakers と演奏してからは、その品位で演奏するのに慣れたんだ。Tom は自分の音楽に品位を持っている。音楽に意味があり、常に新しいものを創作している。僕は64歳だ。Tom が言ってたよ、「僕はまだアーティストだ、立ち止まって怠けるわけにいかない」って。そうやって最高の演奏をすることは、僕、そして Heartbreakers のみんなにとって重要なんだ。

バンドが進化しているように感じます。

本当にそうだ。音楽に関しては、怠けないし妥協もしない。僕自身にとっては、観に来ている人たちに僕の飽きている姿を見せたくないんだ。「Steve Ferrone を見たけどトリビュート・バンドでつまらなそうにしてたよ」なんて言われるのはね(笑)。他の人の曲を演奏するのは構わないけど、演奏してるときのエネルギーを(観客に)見せたいし、感じてほしいんだ。

1) Steve が参加していた Dire Straits(DS)の元メンバーたちによるバンド。

シグネチャー・モデルのスネアが発売されましたね。おめでとうございます!

ありがとう、ありがとう。シグネチャー・モデルはこれで3つ目だけど Gretsch 社では2つ目なんだ。

うまくいきましたか?

とてもうまくね。前のやつはとっても高くて、そんなに売れなかったんだ。だからこう言ったんだ。「あなたたちのスネアは大好きなんだけど、みんながもっと買いやすいようにして欲しい」って。それで成分をアルミに変えたんだけど、とてもきれいに仕上がったし、音がとてもいいんだ。(TP&HBの)ツアーでもそれを叩いたよ。

このツアー(Nathan East)でもですか。

いや、今回は何も持ってこなかったんだ。

スティックは持ってきました?

それだけだね(爆)。シンバルも何も持ってきてないんだ。

そうすると、(用意する)セットを指定するのですか?

ドラムセットとシンバルを用意してくれれば、それを演奏するよ。大体そんな ところだ。僕はそんなに細かくないんだ。僕がエンドースしてる会社の製品は良い物 だからね。僕や Tom Petty(*1)の家にあるものは特別仕様で、なかなか見つからないものだ。だから、(今回のツアーのように)既製品を送ってくれればそれを演奏するよ。 Gretsch と Sabian(*2)だね。

国際便で機材を運ぶのが年々大変になっていることを聞きます。

飛行機でギターを運ぶ場合はそうだよね。僕は何も運ばなくていいんだ(笑)。

その点、Michael Thompson(*3)は苦労したんでしょうね。

ああ、一本をハードケース、一本をソフトケースに入れて機内に持ち込んでたよ。でも「入るかどうか分からない」と(航空会社に)言われるんだよ。僕の友達はケースに入れてギターを運んでたのに破壊されたんだ。きっとトラックか何かで轢いたに違いないよ。

Heartbreakers でそのようなことはありましたか?ヴィンテージ・ギターばかりで、そんなことがあったら悪夢ですよね。

いや(笑)。泥棒がいるだけだよ(笑)。(*4)

そうでしたね。Clubhouseでしたっけ。

いや、Soundstage でのリハーサルの時だ。警備の1人がやったんだ。だから警備は今一つだったね。監視カメラがたくさんあるのに、それが切られていたんだ。そんなことを出来るのは警備員だけだよね。

あまり賢いやり方ではなかったですね(笑)。Tom や他のみんなもパニックになっていませんでしたか。

どちらかというと、(金銭的な面より)感情的な思い入れの方だね。Tom が一番最初に買った Rickenbacker のギターも盗まれたから。面白かったのは、Bugs(*5)がギターショップに電話をかけて(盗まれたギターの)説明をしていたのだけれど、次の日になって、その中の1軒の店が「これはどうですか」とギターを3本ほど Tom に持ってきたんだ。Tom は「これはいいね」って調子で買ったんだけど、(盗まれた)ギターは直ぐに見つかったから Tom は(盗難に遭う)前より多くのギターを持ってるんだ。

あなたもドラムをたくさん所有しているんですか?

沢山あるけど、全部倉庫に入ってるよ。最近は1950年代の Gretsch の新古品を買ったんだ。素晴らしい音がするよ!

1) なぜか、ここだけフルネームで称していました。 
2) シンバル製造会社。 
3) Nathan East Band のギタリスト。
4) ツアーのリハーサル中にギターの盗難事件が発生しニュースとなった。
5) TP&HBの長年のギターテクニシャン。

ロサンゼルスに住んでいるのですよね。

そうだ。Mike Campbell が12月13日にチャリティショウをやるのでそれで演奏するんだ。ロサンゼルスの Troubadour だよ。日本人のファンがいたら来てほしいね(笑)。ジャム・セッションで楽しくなるはずだ。

まだ何をやるか決めてないんですね。

そう。サプライズになるよ(笑)。

Mike はそういうときに Heartbreakers の曲を演るんでしょうか?

… それは本当に分からないね。演るかもしれないし、それこそ Tom が来るかもしれない。Hearbreakers が突然登場したら面白いよね(笑)。

なぜ聞いたかというと、Mike はそういうときに昔のロックンロールを演奏したがるのかな、と思ったのです。

そうだね、彼は Heartbreakers から離れて Dirty Knobs を演りたがるだろうね。

ツアーが終わってメンバーたちとは連絡を取っていますか。

ああ、Ron Blair とはしゃべったし、Benmont (Tench) とも。日本のファンのみなさんによろしくって言ってたよ!

今後、どの国で演奏してみたいですか?

中国には行ってみたいね。行ったことがないんだ。ベトナムにも行きたいね。その近くならどこでも行ってみたいよ。バリにもニューカレドニアにも行ったことないし。息子の友達がそこの出身で、エアフランスで働いた友達もいて、きれいなところだといつも言っていたんだ。インドには行ったことあるけど、もっと色々と見たいからまた行ってみたいね。中国、ベトナム、ミクロネシアには行ってみたい。暖かいところが好きだな。
中東で起きてることは本当に残念だけど、エジプトにもトルコにも行ってみたいんだ。プロデューサーの Arif Mardin(*1)は僕にすべてを教えてくれたんだけど、今は奥さんとともにトルコに埋葬されていてね。いつかお墓でお別れを言いたいと思っているんだ。彼はナイル川(エジプト)の旅行が最高だったと言ってたので、行ってみたいんだ。

旅行が好きなんですね。

大好きだよ。

ツアーでも、ですか。

うん、旅行は好きだよ。来日の前にはイタリアに1か月半いたよ。Dire Straits Experience で1か月ツアーして、レコーディングでローマに2週間いたんだ。イタリアで有名な女性ヴォーカリスト、Lori Danabetti (*2) のレコーディングでね。とても素晴らしいロック・シンガーだけど気難しいという評判があって、ホテルをよく壊して問題になるんだ(笑)。Renato Zero (*3) というアーティストが友達で、イタリアでは有名な人だ。素晴らしいソングライターで(彼女に曲を提供して)それをレコーディングしたらとてもうまくいってね。彼女は昔は綺麗で、今はそうでもないんだけど(笑)声は素晴らしいんだ。僕だって昔ほど美しくないしね(笑)。

でも、年を重ねると知恵が増えますよね。

確かに(笑)。そうだといいね。

あなたの場合、年を重ねるに従って、ドラムのビートはますます強くなっていると思います。

そうだといいね。演奏するのは楽しいからね。そういえば、Tom の(自宅の)新しいスタジオのためにドラムを買ってあげたんだよ。

Gretsch ですか。

そうだよ。 [携帯の写真を探す] 
… 昔の写真を携帯に入れてるんだ。Average White Band で『Feel No Fret』(1979年)をバハマでレコーディングしている頃の写真をね。当時はまだ髪の毛もあってね(笑)。写真はあちらこちらで撮ってるね。孫の写真とか。1月には7人目の孫が生まれるんだ(笑)。

おめでとうございます!

僕は一人っ子だったのに、こんなに子供が生まれてね。大家族だよ。

Tom にも孫が生まれたんですよね。あなたとはそういうことを話すんですか。

うん、話すよ(笑)。お互い孫の自慢をするんだ。

あなたと同じように、7人の孫に恵まれるんでしょうか。

それは分からないよ(笑)。お金はかかるよ(笑)。

クリスマス・プレゼントなどで、ですか。

まず名前を覚えなきゃね(笑)。けっこう大変なんだ、ときどき分からなくなるんだ。沢山いるからね!僕が名前を覚えるのが苦手なの知ってるよね?(笑)

誕生日まで覚えるのは大変ですね。(笑)

それはコンピューターのプログラムにやってもらうんだ(笑)。(産まれた)順番を覚えるのがまた大変なんだ。

1) 1932-2006。70~90年代にかけてヒット作を連発した名プロデューサー。Steveが在籍していた Average White Bandの一連の作品も手がけている。
2) このように聞こえたものの…聞き取りが悪かったのか検索しても出てきません。
3) アルバム総売り上げが4000万枚以上にのぼるイタリア人シンガー/俳優。

アメリカに戻ったら Mike とのショウですね。他には何がありますか。

イギリスに行って Phil Palmer(*1)の奥さんとのレコーディングがあるんだ。12月に Dire Straits Legends の単発のコンサートがイタリアであって、それで自宅に戻るよ。来年(2015年)はどうなるだろうね(笑)。

Tom はまだ来年の予定を話していないんですね。

まだ何も言われてないよ。

ある日電話をかけてきて言うんでしょうか。

もう一つのバンド… 何だったっけ。あ、Mudcrutch でもう一枚アルバムを作るという噂があるけど。グラミー賞にノミネートされるかもしれないし、そうしたら出るかもしれないし。いろんなことが考えられるね。

グラミー賞がとれればいいですね。

ああ。ヨーロッパやオーストラリアに行くかもしれないし、分からないね。

でも、そのためには(Tomの夫人)Danaを説得しなきゃいけないですね。

その通り(笑)。僕はいつもやることがあるから、体調を保つためにも演奏を続けていくよ。

ボクシングも続けてますよね。健康に役立ってますか。

そうだね。

世界中でボクシングできる場所を探すのは大変ではないですか。

いや、世界中ではやらないよ。ロサンゼルスだけなんだ。Freddie Roach(*2)のところに行っててね。今ね(Freddie Roach が)パッキャオをメイウェザーと戦わせようとしているところなんだ(*3)。今度、大きな試合があるんだ。長年、大物2人を戦わせようとして、まだ実現していないんだ。

それは観に行くんですね?

それが実現すればチケットが欲しいよ!(笑) Tom に「その日リハーサルする」って言われたら泣きが入るよ!

でも、Tom の意見は尊重しなきゃいけないですよね?(笑)

そうしなきゃ。(笑)

1) イギリスのセッション・ギタリスト。Dire Straits に一時期在籍、現在は Dire Straits Legends を率いる。 
2) ハリウッドの Wild Card Boxing Gym を経営するボクシング・トレーナー。あの Manny Pacquiao のトレーナーでもある。
3) 5月2日にラスベガス MGM Garden Arena で行われた Manny Pacquiao 対 Floyd Mayweather  戦。史上最高のファイトマネー(300億円強)は日本でも大きな話題となった。

2011年、日本で大きな震災がありました。そのときに日本のファンを気遣いメッセージを贈って下さり、心より感謝します。

こちらこそ。あのとき、Steve Cropper と Donald “Duck” Dunn (*1)のバンドで日本に行くはずだったんだよ。Duck がツアーに遊びに来てくれて、あのとき僕が行けなかったバンドで日本へ行く予定を話してくれたんだ。 でも日本に来て亡くなっちゃったんだ (*2)。会ったときに「今度行くときは声かけてよ」って言ってたんだけどね。

とても悲しいですね。

震災が起きたとき、彼は放射線で死ぬのを怖がったわけじゃないんだ。でも、(日本で)放射線の心配がないときに亡くなってしまって。どうしてだろうね(苦笑)。

震災が起きたときの恐怖は(アメリカにも)伝わっていたのですか。

映像を見てたよ。恐ろしかったよ。

東京でも停電があって、コンサートがキャンセルされたのは、そういった理由からだったのでしょうか。

それは… 分からないんだ。行きたがらない人がいたかもしれないね。

停電があれば営業できないと言っていた会場もありましたよ。アコースティックにしたいなら話は別ですけど(笑)。

Heartbreakers なら多分それでも出来るよ(笑)。

Tom にアコースティック・ショウをやるよう説得してみるべきでしょうか(笑)。

Benmont のアルバムは日本でも発売されたの?あれはアコースティックだよね。

残念なことに日本には来ていません。ショウは観ましたか?

ロサンゼルスで観たよ。

彼が歌うのを見るのは面白かったですか?(笑)

ああ(笑)。正面に来て歌っていてね。

この前あなたにお会いしたとき、「僕は絶対歌わない」って仰ってましたよね。

それが、歌ったんだよ!フランスでアルバムを作ったんだ。知らなかった?

知らなかったです!

ドラム・クリニックをやるためにフランスのアルザスへ行ったんだけど、そこで レコーディングをしたんだ。ベーシストの兄弟がエンジニアだから録音してくれたんだけど、「良い出来なのでこれをレコードにしてもいいですか」と言われてミキシングをしてね。 何があったかというと、現地のドラマーがドラム・テクをやってくれ、(僕のドラムの)セッティングをしてくれたんだ。ショウの途中、彼に感謝の言葉を伝えてステージに上がってもらい、「ちょっと 僕のかわりにドラム演奏してもらえる?」って言って彼にドラムを演奏してもらったんだ。バンドのみんな、「何が起きるんだろう」 って顔をしててね。僕は「前からこれやりたかったんだ、バンドのシンガーになりたかったんだ」って言ったんだ(笑)。”Kansas City”(*3)を演ってね、僕が歌ったんだ。

うまく歌えましたか?

ああ(笑)。みんなビックリしてね。良かったからレコードになったんだ(笑)。

あなたのためにドラマーが叩いてくれる、というのも良いですね。そんなことは滅多にないですよね。

ないよ(笑)。「次は君がソロ、次は君」って感じで仕切れたよ!

最後になりましたが、大変感謝しています。また日本で会えるとは思ってもいませんでした。

可能な限り来たいと思ってるよ。前に来たときと今とでは(街が)変わっているしね。今回は空港も違ったからね。

羽田に到着したのですか

(飛行機が)着陸するとき(の景色が)すべてが違ってね。ビルも海も違って、すべてが新しくてね!

1)Stax Record の専属ギタリスト、ベーシスト。 
2)2012年5月13日、宿泊先の東京都内のホテルで死亡。 
3)Jerry Leiber、Mike Stoller 作詞作曲の楽曲。1959年に Wilbert Harrison のバージョンが全米1位となった。Little Richard、The Beatlesなどのカヴァーも有名。Steveの歌声はこちらで試聴可能

インタビュー: 2014年11月10日(東京)
Depot Street 掲載: vol.192~197 / HP 掲載: 2015/7/3
インタビュー & 翻訳 : Shigeyan / サポート・スタッフ : TOSHI、Mayu