Official Website Interview by Warren Zanes (2008/10)

TP が10月23日に Warren Zanes によるオフィシャル・サイト向けのインタビューに応じ、直近の活動や今後の展開に関して語りました。インタビューは11月3日からサイトに公開されています(PDF 13ページ)。Heartbreakers や Mudcrutch の活動について興味深い話が聞けます。

*Q1- 10: Mudcrutchの再結成について、ライヴについて、「Extended Play Live」について、etc…

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*Q11 : 今夏にHeartbreakersとして(ツアーで)やってきた時、幸せそうに解き放たれた一団に見えました。Mudcrutch での経験が浄化作用の役割を果たしのですか?

そうだったと思うよ。まさにそうだね。Mike もそう思ってるだろうね。Mudcrutch のショウの後、Heartbreakers のサマーツアーのリハーサルが始まるまで、我々は1度の週末休みしか取っていない。両者が全く違うものだと明らかになる一方で、Mudcrutch での経験がある種の友情をもたらしたと思うんだ。

Heartbreakers は今ではこれまで以上に友人として親密になったと思う。このバンドには誇りがあるよ。彼らは決してステージからいなくならないし、彼らが出来る以下のことはしない。今年のショウでの調和は特にすごかった。それは僕が誇りに思う事だ。それができるバンドは、そんなに沢山はいないと思うよ。

*Q12 : Rolling Stone 誌が、Heartbreakers のツアーが今夏のアメリカでの興行収益ナンバー1のツアーだと報じていました。今更ながら驚きましたか?

それは我々がすごく誇りに思っていることだ。(コンサートに)来て彼らなりに支えてくれる観客に感謝しているよ。いつも僕たちには最高のファンがいるのだと感じているよ。だってショウでは客席から膨大なエネルギーが放出されているからね。時にはビックリして立ち尽くしてしまうよ。大抵の夜、彼らは莫大な量を作り出しているんだ。

それに彼らを見ると、そのほとんどは謙虚だ。長い年月にわたり列に並んでくれ、今でも僕らを観るためにやって来て楽しんでくれている。多くの人々にとって生活が大変でお金が貴重になっている昨今でも。本当に心を動かされるよ。

*Q13 : 人々が何かを得ようとやって来る中で、Heartbreakers が届けているものは何ですか?

Rock and Roll。探すのは難しいよ。でも、僕たちは本物を届けている。世界で最高の Rock & Roll バンドの一つだからね。

*Q14: Steve Winwood はオープニングにはピッタリでしたね。Heartbreakers がフロントアクトとして彼を登場させたのは印象的でした。彼とは以前から約束していたのですか?

ツアーでも単発のショウでも良いから、Steve と一緒にやるのが僕たちの長年の夢だった。彼とはイギリスで何度か顔を合わせているし、Hall of Fame のイベントで演奏したこともあって、そんな時にいつも「一緒にツアーをやろうよ」と言っていたんだ。だから、彼が一緒にやると聞いて天にも昇る気持だったね。彼がやって来た時はいつでも自分で自分(の頬)をつねってなければならないよ。本当に素晴らしかったよ。

彼が側にいるだけで僕は赤くなってたよ(笑)。「僕はあなたのレコードなら何でも買っています」と伝えてね。他のメンバーも僕の熱中ぶりと同様だったと思うよ。彼のショウで曲を聴きながら、「これは観客にとっても素晴らしいことだ」と感じた夜がいくつもあったね。ショウ全体を見るだけの価値があると思うよ。

Q15: Heartbreakers、Mudcrutch での成功をへて、あなたは両方のバンドに責任があると感じていますか?そうなると曲を作っていてどちらのバンドのためなのか、はっきりしているのですか?

Heartbreakers のプロジェクトに入っている時は明確に全てをそこに集中しているよ。Mudcrutch の時はもう少し気楽だね。まず我々はやりたければカバー曲もできるし、それに Ben(Benmont Tench)も Tom(Leadon)も曲を持ち込んでくるからね。

僕の立場からいうと、Mudcrutch のセッションに持ち込んだ曲の35~40%はセッションの間に書いたものなんだ。あれは初めての経験だったよ。スタジオからエネルギーを保ったまま家にに帰って、それから腰を落ち着けて曲を書いたんだ。次の日に演奏するための新しい曲が欲しかったからね。それがすごく良い手法だと分かったよ。

今、僕の頭の中にあるのは、次の Heartbreakers のレコードでは同じスタイルでやりたいってことだ。オーバーダビングや作り込みはあまりしたくない。Mudcrutch でやったのと全く同じように、彼らを集めて、ライヴで演奏する方式でやりたいんだ。あの方法でこそ得られるエネルギーと純粋さがあるんだよ。これを HB と一緒にやったら面白いと思うんだ。

Q16: Benmont は常々バンド全員が一緒に演奏してライヴ録音するのが良いと主張していましたよね。彼は「だから言ったでしょ!」というような状況を楽しんでいますか?

たぶんね(笑)。そう、常にそれは彼のセオリーだったんだ。僕はどっちの手法も好きだけどね。でも、今、僕の人生のこの時点で作るレコードでは、演奏も歌もバンドとライヴでやりたいとハッキリ確信しているよ。バンドと一緒にやって、全てを一斉に連動させた時のボーカル・パフォーマンスの方が良いものになると思うんだ。

Mudcrutch で、ボーカルが演奏の目安になるものだと気付いたんだ。つまり、ボーカルが良ければ、バンドのみんながすごく良く演奏していたってことなのさ。でも、それは同時に、遡ってソロ・パートとかの諸々を修正することができないってことでもあるね。我々はこれまで時にはいろいろなプロダクションをしてきたけど、今はスタジオでライヴの手法を使うことで、もっといろいろなことができると考えているよ。

Q17: あなたは長い間、北米以外ではツアーをしていませんね。どうしてですか?ツアーのプランはありますか?

今のところ、プランはあるよ。来年の夏に大規模なヨーロッパ・ツアーをしようと考えているんだ。まだ何も決まっていないけど、ようやくその時期が来たと感じるし、我々を悩ませる事柄もないから、ツアーをやりたいんだ。

大抵は北米ツアーを終える頃には、我々はレコーディングを始めなければならないのさ。正直に言うと、僕は一年中ツアーはしていたくない。それが、長い間、まともにヨーロッパ・ツアーをやらなかった一番の理由だ。

でも、そこに行ってこのバンドの演奏を聞いてもらいたいと強く思っているよ。バンドがすごく良い音になっているから、もし僕がそうせずにライヴが実現しなかったら、僕自身が悪いことをしていると思ってしまうね。

*Q18: この3年間は、まずスペシャルゲストを迎えての30周年ツアー、それからドキュメンタリーがあって、今年のスーパーボウルとそれに続く最も成功したツアーと、まさに3年計画の結果のようでした。それらは当初の計画どおりなのですか?それとも偶然なのですか?

それは全て計画通りだ… と言いたいものだけど。いくつかの幸運な偶然があったね。実際、僕がツアーに反対したら、多分大成功のツアーになっただろう(???)。

僕は30周年記念ツアーはやりたくなかった。ただのツアーをやって、しばらくそのままにしておくべきだと考えていた。でも、他のみんなはツアーに行きたがり、結局、それが僕たちの30周年記念だったんだ。だから、僕は仕方なく同意したんだけど… あのツアーは僕たちにとって素晴らしいものだった。

その直後に Peter Bogdanovich の映画があって、それは僕たちの期待以上の評判になったんだ。さらに、映画の結果として、スーパーボウルでの演奏があったんだ。その後はツアーに戻ったら、僕らにとってこれまでで最も成功したツアーとなった。計画していたかって?そうはいかないよ。でも、僕たちは今ではすごく嬉しく思っているよ。

Q19: Peter のドキュメンタリー映画はあなたが思ったようになりましたか?何か変更は加えたのですか?

はじめは「ウーン、4時間は少し長いんじゃないかなぁ」と考えたよ。でも、腰を落ち着けて観客として映画を見ると、全て納得がいったよ。彼は素晴らしい仕事をしたと思うし、確かにその通りだよ。だって、僕は映画を観て気に入ってくれた人々から、いろんな所でしょっちゅう(声をかけられ)立ち止められたんだ。今、それは映画と貴重なボーナス映像が付いた別バージョンでリリースされ、どこでも買えるようになったよ。その勢いはまだ続いていて、それが更なる嬉しい驚きだよ。

Q20: 評論家も観客も「Runnin’ Down A Dream」はアカデミー賞の候補になるべき映画だという反応ですね。あなたと Peter はその事について話しましたか?それは有り得ると感じていますか?

そういうことはあまり考えないようにしているよ。でも、これはすごく大きなプロジェクトになった事例だと思っている、ということは言えるね。こんな風に映画が注目されたことは本当に嬉しいね。Peter とそのことについて話してはいないけど、彼がやり遂げたことで選ばれるところを見たいよ。僕たちを捉えるのはそう簡単なことじゃないけど、僕たちが正しいと感じるような形で物語を伝えることを彼はやってのけたんだ。

Q21: 映画の制作は長い期間を費やしましたね。Peter に対する親密さの度合いはほとんどバンドの一員のようになったのではないですか?

Peter はロックンロールのフィールドから来た訳ではない。実のところ、そのことがこのプロジェクトの監督としてふさわしいと僕は惹かれたんだ。彼がこのバンドの人生の中に入ってきたら興味深い化学反応があるに違いないと感じたんだ。いろいろなロックンロール映画を作った監督たちがいるけど、同じような方法が良いとは感じなかったんだ。

そして、どうなったかというと、Peter はバンド、そして音楽と恋に落ちてしまったんだ。彼はこの映画に彼の心を全て注ぎ込んでくれた。僕は今でもかなり定期的に彼から電話をもらってるよ。先週の土曜日もここに来たばかりだ。彼は今ではまさに家族の一員だね。たぶん、あの映画を作ることで相当に深いところまで行ったからだろうね。

Q22: ロックンロール・バンドと一緒にうろつくことで、彼はより沢山の女の子たちと出会ってると思いますか?

そう願ってるよ(笑)。


Q23: 映画、本、スーパーボウル、ツアーと… ここ数年に起きたことを考えると、<一大プロジェクト>でしたね。一方で、あなたは Mudcrutch とレコードを作り、今は新しい Heartbreakers のレコードに思いを巡らせている。映画のような過去を振り返る仕事とこれからの新しい仕事のバランスをどのように取っているのですか?

僕が上手くやっているのは、常に次のレコーディングについて考えているからだ。僕の気持を言ってしまうと、今は Heartbreakers として良いアルバムを作ることが最も大事だと思っている。随分久しぶりだからね。バンドの波長は、スタジオに入って何かすごいことをして、みんなに座って注目してもらえるような音楽を作りたいっていう感じなんだ。我々には溢れるような創造力があり、今の状態に満足してしまいたくないんだ。これは我々にとって偉大なる挑戦になるよ。

それと、さっき言ったようにもし次の夏にヨーロッパに行くなら、Heartbreakers のための曲作りもレコーディングも今年中にやってしまわなければならないってことなんだ。

本音をいうと、僕にはやりたいことが沢山あるんだ。例えば、さらなる Mudcrutch のツアーとかね。でも、次の Heartbreakers のプロジェクトはそれだけの注目を集めるものになるよ。バンドとして僕たちにはまだまだ開拓する領域があるからね。どんなバンドにとっても、それは心地良い場所だと思うよ。

*Q24: 私の見解では「開拓する領域がある」アーチストは彼らの成熟していく声やその声によって行き着いたテーマに抵抗しないような人々だと考えています。実際にそういった事柄について考えますか?

僕はそれは防御的な意味でだけ考えている。つまり、もし僕があまりにも軽薄だったり、あまりにも若すぎるタイプの曲を書いたとしたら、僕はそれを捨てるね。僕は特定の年齢層に迎合しようと考えたことは一度もないし、そうしないことで僕らは上手く生き残っているのだと思う。

僕は自分の心に浮かんだことを書くだけで、自分が得た最良のものを使って、上手く表現できるようにと願っているんだ。一般について書くって?そんなことはあまり考えないようにした方が良いよ。ありのままに受け取れば良い。それについて考え始めると、自分自身でいくつもの制約を作ってしまうことになるよ。

もし自分に正直に書けば、それは曲の中にそしてボーカルパフォーマンスの中に表れるよ。ある種の信念が存在し、全てに影響するんだ。いつでも驚くようなテクニックのあるボーカルの曲を聞くけど、僕はそのシンガーのことは信じていない。そんなに上手くはないけど、全てにハートのある人の曲を聴くのとは違うよ。でも、それは誠実な曲があってのことだけどね。

Q25: あなたの曲が両党の立場の違う政治家たちに使われたと聞きました。選挙キャンペーンにご自分の曲が使われるのはどんな気持ちですか?

僕がその主張に賛同していない時は、曲が使われているのを聞くのはすごく居心地悪いよ。でも、それらの曲は彼ら自身の人生、より大きな人生に関わっていると認識している。曲は聴き手のものなんだ。その使われ方を僕が常にコントロールできるものではないんだ。

でも、僕は自分のショウで候補者を支持したりしないということは付け加えさせて欲しい。僕が政治的にどちらサイドに居るかを知るのはそう難しいことではないと思う。でも、候補者のために演説するのは間違っていると感じるんだ。それは単に、僕の聴き手が僕にそれを求めているとは思わないからだ。例え、どちらかがもう一方より少しマシだとしても、全く信用したこともない人々の集団である政治家たちと一緒に結び付くことなく、僕はアーチストとして政治的であるべきだろうし、今もこれまでもそうしてきたつもりだ。僕は「オレと同じように投票しろ」と言うことなく、支持することができるし、そうしているよ。

今現在、これまでより以上に変化が必要だ。だから僕はオバマの勝利に向けて強い感情を持っている。でも、彼のためにステージに上がってキャンペーンはしないよ。彼や彼女の望むように投票するということは個人個人の問題だと思う。僕の聴き手のみんなは楽しむために、その夜(コンサートに)やって来る。だから、政治的な支援に時間を費やしたくはない。(世の中では)政治的なことが沢山起きているから、ロックンロール・ショウがそういう事から多少の救いになると僕は思っているんだ。

Q26: 政治からビジネスに話を移すと、音楽業界にとってはいまだに厳しい時代が続いています。しかし、これを別の角度から見ることもできます。市場やその要求の激しいプレッシャーからアーチストを解放する、何も失うことがない時ですよね?

それは確かに僕を解放しているよ。音楽業界の現状はレコードを作って売ることに見向きもしてないよね。単に市場の隙間をうめて物として動かすためだけのレコードがあふれていると思う。音楽文化全般にとって、それは障害だよ。もちろん、Heartbreakers はラッキーだ。というのは、僕たちはその状況をあまり心配しなくても良い位置にいるからね。

でも、おかしな話だが、Mudcrutch のレコードはレコード会社によって受け入れられ、本格的なプロモーションをしてもらえたということを言わなければいけないね。これが10年前だったらそうだったか分からない。レコード業界はクオリティを見極めて、1ヶ月で燃え尽きてしまうものよりは長く持ちこたえそうなものを探さなければならない状況にあると思う。

実際、Mudcrutch でリプリーズ(レコード会社)と良い経験ができたから、Heartberakers は(Frank)Sinatra から the Kinks、(Jimi)Hendrix、Neil Young と豊かな歴史のある、僕たちが常に称賛してきたレーベルであるリプリーズと契約したんだ。産業的には悪い状況にある中で、僕たちは僕たちのレーベルと素晴らしい関係を築くことができる。音楽業界を取り巻くこのような不況が業界の一部の人々の創造力をいまだに良くしていないのかは、僕には分からないけど。

*Q27: 第4シーズンに突入するXMラジオの<Buried Treasure>ショウについて聞かせてください。これはあなたにとっては楽な仕事でしょう?

そうだね。僕はものすごくこの仕事を楽しんでいて、だからこんなに長く続いているんだろうね。それと、第4シーズンまで続けられているのは視聴者のおかげだよ。プロデューサーに視聴者からのメールの束をもらって、人々が新たな音楽を発見している様子を知るのはワクワクするよ。僕自身の世界のあちこちにある何か、彼らが見つけて追いかけることのできる何かを与えられるのは、ものすごく大きな喜びだ。

でもそれは同時に、何時間もより深く音楽を聞かせてくれるんだ。それは僕が音楽的に書いたり考えたりしていることを教えてくれる。僕が今耳にしているほとんどの音楽よりも、50年代や60年代のレコードの音が僕は好きなんだと確信しているよ。

*Q28-33: 第4シーズンのプレイリストに登場するアーチスト、Ray Charles、The Guess Who、Joe Cocker、Eddie Hinton、Radiohead etc… について

(省略)

*Q34: ツアー中でなくレコーディング中でもない、Tom Petty のある一日の生活について教えてください。予定表はどんな感じですか?

いろいろな事があるだろうね。最近では湖畔にある家が大きな位置を占めているんだ。何冊かの本を持って、その辺に座り込んでしばらく読書。それからボートを出してバス釣りだね。夕方に戻ってからは映画を見て。それから煙草を一服して、ギターを弾くかピアノを叩くか。でも、僕にとって仕事じゃない事柄は、仕事するよりも難しいんだ(笑)。

【Depot Street:vol. 119~121】(2008.11-2009.1)掲載  翻訳: Mayu / Shigeyan

* は【Depot Street】未掲載 … 間違っている部分があるかもしれませんがご容赦下さいませ。