『Live at the Fillmore 1997』発売!
11月25日に『Live at the Fillmore 1997』が発売されました。アメリカではCD、LP共に同日に店頭に並び、デジタル音源も配信されました。同時に公式YouTubeチャンネルに<Official Audio>が69種アップされました。それまでに公開されたものを加えるとデラックス盤(4CD/6LP)に収録された72トラック(58曲)を全て聞くことができます。このうち“American Girl”は Adria Pettyと Jacques Naude 監督によるミュージックビデオとなっています。ダンサーのパフォーマンスを軸に様々な年代の女性を描いたモノクロ作品で、TPの孫娘Everly Pettyも出演しています。白っぽいキャミソール姿で側転をしたり、同年代の子とハイタッチ、自転車の周りを走るなどの演技をしています。2分23秒辺りで一瞬だけ顔が映るカーリーヘアーの女の子です。
売り上げは好調なようで、12月10日付 Billboard のチャートでは Top 200(アルバムランキング)で35位、Top Rock Albums で6位を獲得。さらに公式 SNSの発表では Current Rock Albums で1位、Current Album Sales で2位に輝いたとのことです。<Billboard Magazine>2022年12月10日号ではジャケット写真を使って「21枚目のTop40入り作品」と紹介していました。
アメリカ以外でも彼らの人気があるドイツでは<Top 100 Longplay>で初登場9位にランクイン。チャートを掲載している雑誌<Musik Woche>2022年12月12日号では写真とコメント付きで同作を紹介するほど力が入っていました。
日本ではCD/LPの発売が遅れ、当初はデジタル音源のリリースのみでしたが、12月に入って徐々に配送・店頭発売が始まっています。国内盤・輸入盤国内仕様の発売は今回もありません。
4CD/6LPが未着のため、手元にある2CD盤に関して内容をご紹介します。ジャケットは3つ折りデジパック。ブックレットは公式サイトの発表では16ページとされていましたが、表紙を含めて23ページ。ロックジャーナリスト Joel Selvin の手によるライナーノーツはライヴの企画段階から、TPのキックボクシング練習中の左手のケガによる延期、リハーサル、初日からのライヴの詳細、公演中のサンフランシスコでのメンバーの暮らしぶり、最終公演までを短くまとめてあり、とても読み応えがあります。歌詞や曲毎の解説・ミュージシャン・クレジットは全くありません。ソング・クレジットは掲載されていますが、カヴァー18曲のうち17曲のみ、なぜか “Knockin’ on Heaven’s Door”がありません。また、The Byrds “Eight Miles High”の作者が Roger McGuinn だけになっていて Gene Clark と David Crosby の表記がありませんでした。
収録曲に関して1つ。公式発表されていたトラックリストには Chuck Berry の”Bye Bye Johnny”が含まれていましたが、実際に収録されたのは “Johnny B.Goode”でした。Variety誌サイトに掲載された Benmont のインタビューの中でこの曲に関して語っています。 この記事によれば、以前からのレパートリーだった”Bye Bye Johnny”を演奏したところ TP が歌詞を思い出すことができなかったので、修正するためにリハーサルが必要だったとのこと。
今回収録されたものは”Johnny B. Goode”と”Bye Bye Johnny”のハイブリッド版です。イントロは”Bye Bye Johnny”ですが、TPが”Johnny B. Goode”の歌詞で歌ってしまったのでバックはそれに合わせて演奏&コーラスを変えます。ところが2番になるとTPは”Bye Bye Johnny”の歌詞を歌い、でも演奏&コーラスはそのまま “Johnny B. Goode”を続け、3番になるといよいよ混乱が深まってTPは2番と3番の歌詞の折衷版で歌う始末。ライヴ音源を確認してみると今回収録のハイブリッド版は2月6日に演奏されたもののようです。CD/LPのジャケット等には「Bye Bye Johnny (Feb, 7)」と記載されていますが、デジタル系のものは「Johnny B. Goode」と修正されています。厳密に間違いとは言えませんが、ブックレットで説明するとか、面白い出来事なので公式サイトに話題として載せるとか、購入者に対してもう少し丁寧な対応ができなかったものかと残念に思います。
雑誌掲載情報を。現在まで確認できているのは、広告が<Classic Rock>22年11月11日号、<Record Collector>22年12月号、<Uncut UK>23年1月号の3誌。 記事としては<Uncut UK>23年1月号に2ページのレヴューがあり、この中に Mike と Benmont への短いインタヴューもありました。評価は10点満点中
9点を獲得しています。日本では現時点で雑誌への掲載は確認できていません。
音楽評論家の萩原健太氏のサイト<Kenta’s…Nothing But Pop!>内の Disc Review では12月7日に同アルバムを取り上げていました。記事の中に細かい間違いはありますが、TP&HBの当時の状況や今作の制作過程、カヴァー曲の紹介など上手くまとめてくださっています。是非お読みください。
[T]2022-12-11
『Live at the Fillmore 1997』リスニングパーティー
TP&HB公式ファンクラブ Tom Petty Nationで募集された「Worldwide のリスニングパーティー」が、11月17-19日にかけて、アメリカ各地とイギリス、カナダ、スペイン、日本を含む27か所で行われました。最低でも20人は集めるようにとのガイドラインには残念ながら届きませんでしたが、参加者とともに発売に先駆けて「Fillmore Live」アルバムを楽しむことができました。会場の音響設備の良さもあって、実際に音を流してみると想像以上のライヴ感に圧倒されました。
また、後日(11月24日)公式のSNSに投稿された Listening Party の開催御礼には「Tokyo, Japan」という文言とともに日本のイベントでの写真が2点掲載されました。無事に開催でき、また写真まで紹介してもらえ、本当に良かったです。またこのような機会があればと願っています。
[M]2022-12-11