Mike Campbell Interview / Rolling Stone (2018/9)

9月30日付で Rolling Stone 誌ウェブサイトに、Mike の最新インタビューが掲載されました。彼の心中を察するに余りある生々しいインタビュー、涙なしでは読むことができません。(編集の都合上、端折ってしまいましたので、より深く理解したい方はぜひ原文も読んでみてください。) 

2018年9月30日 Rolling Stone サイト  Mike Campbell’s Life After Heartbreak


10月のある朝に Tom が病院に運ばれたという知らせを受けた。病室で彼と対面したときの様子を思い出して Mike は語った。

彼の髪の毛はきれいに整えられていた。薬が効いていたのでとても静かで、でも彼は天使のようだったよ。

ハリウッド・ボウルの最終ショウの後での Tomとの最後の会話に話が及ぶとMike の目には涙が込み上げた。

お互いに好きだと言い合ったんだ。(涙を拭いながら)泣いてしまってごめん。少し時間がかかるんだ。でも僕たちがそういう風に幕を閉じられて心穏やかなんだ。

20歳の頃にゲインズヴィルで出会ってからほぼ半世紀、Tom と音楽活動をともにしてきた。

友情以上のものだった。二人が出会ったことは、運命か神の力かだね。その日、彼が声をかけてこなければ、僕たちの人生は違ったものになっていただろう。

ただ、必ずしも二人が全てを共有していたということではない。Mikeは Tomが怪我の痛みを抱えていることを知ってはいたが、それがどれほど酷かったのか、そしてどうやって痛みに耐えていたのかは知らなかった。

僕は「大丈夫か?」って聞いたんだ。でも彼は決して「もう死ぬ!出来ない!」とは言わなかった。一番ひどい表現が「(痛みは)感じるけどショウは出来る」だった。彼の顔はいつも喜びに満ち溢れていたよ。それで、僕も心配することをやめたんだ。

Stevie Nicks が「彼はツアーをキャンセルして病院に行くべきだった」と発言したのは、Mike にとって非常に微妙な問題だった。それを聞いて彼は苛立った。それは周囲の人々にも責任があると言っているように受け止められたからだろう。

Stevie は善意から言ってるのだろうけど、彼女はそこにはいなかったからね。Tom が決心を固めたら、誰にも説得することはできなかったんだ。「病院に行くべきだ」と彼に言ったら「ふざけんな、ツアーはやる」となるだろう。彼に強制することは誰も出来なかったんだ。

この話を進めるにつれ、Mike は絶望的な様子になった。

後になってこうだったと話すことにどんな意味があるんだい?僕が分かっているのは、彼はやりたかったことをやり、それを僕たちは支えていた、ということだ。僕たちは彼のためにいたんだ。そして彼は人生を謳歌していた。適当なことを言っているんではないよ。彼はあのツアーを最高に楽しんでいたんだ。

死因発表の報告書は全部読んでいないという。それが重要だとは思っていないようだ。

不幸な出来事があったから、それがどうだって言うんだ? Tom は人間だ。起きてしまったことは起きてしまったことだ。大切なのは(彼の)音楽だ。人々はそれを思い続けるんだ。

悲劇から数ヶ月間、Tom のいない Heartbreakers の将来を考えるのは不可能だった。

あまりにも悲しいと思った。兄弟の片割れはどこにいった? 僕は直面できないよ。

その間に The Dirty Knobs の初めての全米ツアーのアイデアを考えたりもした。Mike は長年やりたかったが、Tom は Heartbreakers とは区別して、決して許可しなかった。

Tom と僕で意見が合わないときもあった。それはお互い心の中にしまっていたんだ。でも、そういう摩擦は音楽のためには良かった。曲の中に味わいを加えるための力となっていたのさ。

今年の誕生日の頃に Mick Fleetwood から電話があった。Fleetwood Mac は新しいギタリストを探していたのだ。

Mick には1~2回会ったことがあるけど、そんなに深くは知らなかった。それがこういう風に言われたんだ。「君の音楽はたくさん聴いてきたよ。バンドに入ることに興味はないかな?」って。

サポートメンバーとしてではなく、正式メンバーとしての加入という Fleetwood のオファーは、嬉しくもあり、手ごわくもあった。

二度と大きな会場で演奏することはないと思っていたんだ。G4(Gulfstream 社のプライベートジェット)に乗ることも、(ロサンゼルスの)Forum で演奏することも。それが突然「なんてこった。どうなってるんだ?」と思ったよ。

ツアーの前に1~2週間のリハーサルだった Heartbreakers から一変してハードな予定が詰まっている。何しろ60曲もの新たな曲を一から練習しなければならないのだ。Buckingham / Nicks 加入前の曲も含めてリハーサルを重ねている。Mike は反対したものの “Free Fallin’”も予定されている。

Stevie が演りたがったんだ。あの曲は大好きだけど、たくさん演奏しすぎたよ。「どうしても演らなきゃいけない?」と聞いたら「観客が喜ぶと思う。ハイライトになると思うわ」と彼女に言われてね。だから、また演ることにしたんだ。

Fleetwood Mac のリハーサルは始まったばかりでまだ手探り状態だ。ある意味、それは悲嘆のプロセスからの解放かもしれない。新しいバンドで歩き始めたとはいえ、Tom Petty のことは心の奥深くにある。

いまだに現実じゃないように思えるんだ。毎分ごとに悲しみを感じる状態は過ぎたけど、運転していて僕たちの曲が(ラジオで)かかったりして、そういうときに(悲しみが)直撃してくるんだ。

最近の Forum での(Jeff Lynne’s)ELO のコンサートのとき、ショウの前に『Full Moon Fever』が流れていたことに言及した。今にも涙が溢れそうだ。

あのような大きな会場でそれを聴くことで、とにかく心が落ちてしまった。僕たちはあの曲を一緒に書いたんだ。僕たちは一緒に夢を生きたんだ。指を鳴らして「はい、終わり」とはいかないよ。

【Depot Street : vol.238】(2018年10月11日)掲載   翻訳: Mayu, Shigeyan 


☆ Mike の Fleetwood Mac 加入について Mick Fleetwood が語っています

Billboard 誌インタビュー

Stevie (Nicks) は Mike や Tom とウマがあって、一緒できることはとても楽しいことだ。ステージで Tom の曲、Heartbreakers の曲を演ることはとても正当なことなんだ。彼は演奏したいかどうか迷っていたけど、僕たちは「演らなきゃ!」って言ったよ。どの曲かは言わないけど僕たちはとても気に入っているし、演奏するよ。

(Fleetwood Mac 初期の曲を演奏し)昔に戻ることは楽しいよ。僕らは”Oh Well”を取り上げ、そして Mike がすごい演奏をしているんだ、なんてかっこいいことだ。偶然にもこの曲は Tom がバンドで演っていたしね。

- Chicago Tribune 紙インタビュー

(Mike がバンドにいる違和感を感じるかという問いに対して。)

いや、現実にはそれはない。関係はそんなのではない、とてもしっくりきているよ。とはいえ Mike にはキャリア全体にわたって Heartbreakers で演奏し、一緒に過ごしてきた Tom Petty というパートナーがいた。彼を失うという最近の出来事がとても大きかったことは疑いない。Mike は「もしもう少し前に(加入を)聞かれていたら、準備はできていなかった」と言っていて、当然ながら彼は(加入)出来なかったと思う。

彼は丁度、癒しのモードに入っていたんだ。次のように言っていたよ。「とても信じられないことだ。今これを出来ることはとても気分が良いよ」って。彼が演奏するのを見て「これはすごいことだ」と思ったよ。(演奏する)状況を失って日が経っていない中、とても健康的な一歩だとつくづく感じたよ。そうだと分かってるよ、彼はそう伝えてくれたよ。