Mike Campbell + Stan Lynch インタビュー(2022)

まさか、こんな日が来るとは!!!

第一報を耳にして誰もが驚いたことでしょう。The Dirty Knobs の全米ツアーに Stan Lynch が代役として参加し、しかも TP&HB ナンバーを多数披露する。

一体全体何があったのか、その経緯を知りたいと願っていましたが、タイミング良く Rolling Stone 誌が2人にインタビューしてくれました。

Mike Campbell and Stan Lynch on Their Surprise Heartbreakers Reunion

Rolling Stone サイト(2022年5月20日)

Stan Lynch が Heartbreakers を脱退したのは1995年。その後、Tom と会ったのは2002年のロックの殿堂でのセレモニーのときだけ、Mike Campbell とのコンタクトは Tom が亡くなった少し後で2017年に短い電話があっただけだった。2021年に Mike から電話がかかってきた際は少なからず驚いた。その内容は The Dirty Knobs のツアーで(他のツアーがあって参加できない)ドラマー Matt Laug の代役を打診するもの。「ツアーで演奏して欲しいんだ。可能かな?」

SL:俺は本当に良い人生を送っている。新しい人生だ。ドラマーをやるのは30代のとき以来、30年も前だ。ドラマーであるためのユニフォームや感情、形而上的なものはすべて卒業した気がしていたんだ。Mike から話を聞いたとき「俺は多分上手くできないよ、でも誘ってくれてありがとう」って言いそうになったよ。
でも、実際に話してみると、その企画を内諾している自分に気がついた。誰もがっかりさせたくないんだ。そして、自分の過去において重要だった人たちに対して、ドアを閉ざすことはできないよ。Mike は昔の俺に大切な役割があった人だ。彼のことは俺が15歳のときから知っている。どういう形であっても、自分の人生に関わるには長い話だよね。

SL:それは俺にとって新たな経験だった。他の人の(ドラム)パートを練習したことはなかったんだ。

SL:彼らは大爆笑してたよ。「アルバム2枚分の素材をどうやって消化するんだ?」って僕は聞いたんだ。(セッションドラマーとして百戦錬磨の)彼らは「それは1日で出来る」と言うんだ。Bissonette は「楽譜にするんだ。勉強
するんだよ」ってね。

SL:もう少し違う対応をしていれば良かった。言うべきことを言わなかったということが沢山あった。コミュニケーション不足と未熟さが多々あったんだ。あんな風になる必要はなかった…後悔しているよ、本当にいっぱい。特に Mike に対しては、もっとうまく対処できたはずだ。だから、後悔はしている。でも、後悔でとどまることはないよ。そこから学ぶだけだ。

SL:何を演奏しているかなんて、どうでもいいんだ。顔を上げて(自分が座る)ドラムセットの前に Mike Campbell のケツが見えたら、家にいるようなものさ。

SL:(脱退後に再会した2002年の)殿堂入り(の式典)では、Tom と話もしなかったんだ。でも、リハーサルで会話が途切れたことがあって。俺は彼をつかまえて、伝えるべきことを伝えたんだ。彼の最後の言葉は「お前の言って
ることは聞いているよ」だった。

SL:あのバンドに限界を越える能力があることは知っていたよ。それとともに究極の代償を払うこともあるだろう。(Tomに)何が起こったかを聞いたとき、俺は文字通り(立てなくなって)膝をついたんだ。「クソっ」と膝をついて、空を見つめていた。(Tomに)「ありがとう」と言うべきか、「くそったれ」と言うべきか、分からなかったよ。ただ、彼らみんなが俺の人生にいてくれた、その経験に感謝するしかないことは分かった。俺(の人生)を大きく変えたし、俺が参加したことで、彼らも大きく変わったと思う。

SL:俺の知る限り、4人のオリジナルメンバーは全員元気だ。彼らは俺よりずっと(Tom と)一緒に長い距離を走っているから、(演奏することが)彼らにとってどういう意味を持つかはわからないけど、(集まれたら)俺にとっては嬉しいことだ。

SL:また(Mikeと)一緒に演奏する機会があることを望んでいるし、何が起きてもいい準備はできているよ。(今回の共演で)最高なことは、本当に本当に長い人生という小説にブックエンドを置けたことだ。(この共演が)良い章になったよ。俺たちがクソ爺になった頃にまた一緒になって、クラブで演奏するとはね。(予想外すぎて)こんな(展開がある)ことに賭ける気すらなかったよ。

【Depot Street: vol.282 & 283】2022年6月11日 & 7月11日 翻訳:Shigeyan

Stan Lynch は 4月23日のボルダー公演から6月26日のアスペン公演まで27公演参加