2004年3月15日に行われた<Rock & Roll Hall of Fame>の授賞式。Tom Petty は Jeff Lynne と共に George Harrison 殿堂入りのプレゼンターを務め、Steve Ferrone、Scott Thurston、Steve Winwood、Dhani Harrison などと”Handle with Care”と”While My Guitar Gently Weeps”を演奏しました。
“While My Guitar Gently Weeps”には、同年に殿堂入りして授賞式に出席していた Prince が加わり、圧巻のギターソロを披露します。これはまさに伝説的な出来事となりました。
2016年4月21日に Prince が急逝したのを受けて、4月28日付の New York Times 紙に TP、Steve などがこの共演について語った記事<The Day Prince’s Guitar Wept the Loudest>が掲載されました。その中から Tom と Steve の部分をお届けします。演奏とあわせて是非ご覧ください。
The Day Prince’s Guitar Wept the Loudest
TP: Olivia Harrison(George 未亡人)に授賞式に来て欲しいと頼まれたんだ。「Prince も演奏するのよ」と聞かされて、「あ、それは素晴らしいね」って感じで。Prince がリード・ギターを弾く気になっているんだ、8小節だけって訳にはいかないよね?しかも、誰もが覚えている、あの Beatles のソロを弾いてもらうんだ、特別なソロじゃなければガッカリだろう。Prince は George と Beatles のファンだったけど、特に George のことを尊敬していたと思うんだ。George も(もし生きていたら)気に入ってたと思うよ。
SF: Prince が来るなんて予想していなかったよ。「あそこに Prince がいるよ」と Steve Winwood が言うから、僕は「うちらと演奏するのかな?」と言ったよ。そして「あっちへ行って挨拶してくる」と Winwood に話したんだ。ステージをうろうろして彼のところに行って「Prince ですね。お会いできて嬉しいです。Steve Ferrone です」と言ったんだ。
そうしたら「あ、あなたのこと知ってます!」と言われてね。彼の書いた Chaka Khan の”I feel for you”を僕が演奏したからかなと思ったよ。戻ってドラムセットに座ると Winwood は「どんな人だった?なんて言ってた?」って調子でね。そして僕が座ってたら、誰かが Average White Band で僕が書いた曲のリフを弾き始めたんだ。見ると Prince が僕を直視してその曲を演奏していたんだ。それで「確かに僕のことを知っているね!」と思ったよ。
TP:(本番での Prince ソロ演奏中は)「続けて、続けて」と僕が彼にうなずいている様子が見られるよ。途中で彼の方に乗り出して「これは素晴らしい」という表情を彼に見せたんだ。彼はとにかく炎を上げてた。「何かすごく大きなこと」がそこで起きている、そんな熱意が感じられたよ。
SF: Tom は彼のところへ行って「とにかく自由に、誰かのコピーをしなきゃとか思わず、自分の演奏をして、とにかく楽しんで」と言ったんだ。すさまじいギターソロで、バンドにとってもとてつもないショウだったよ。
彼が観客席に落ちたとき(*)バンドのみんながパニックになって「彼がステージから落ちる!」と思ったよ。そして、最後にはギターが空中に上がって。誰がギターを拾ったのかすら見えなかったよ。ギターが宙に上がって、下に戻ってこなかったのに唖然としたね。あのギターがどこへ行ったのかみんな首をかしげていたよ。ステージにいた僕でさえも、ギターがどこに行ったか分からなかったんだ。
*)Prince がステージ前方で後ろ向きに観客席に倒れこむものの、係員に受け止められてステージに戻る演出のこと。
TP: 不思議なことに、ほんの数日前に彼のことを考えていて、ずっと頭の中から離れなかったんだ。丁度、The Bangles の Susanna Hoffs と話したところでね。彼が(Bangles の)”Manic Monday”を書いたからね。どうやってその曲を貰って、作者の Prince に会ったかって話を彼女が教えてくれたんだ。その日は Prince のことをずっと考えていて、元気にしてるか電話しようと思ったところだった。今となっては、そういうことには迷うことなく行動するべきだと思ってるよ。
【Depot Street: vol.209】2016年5月11日 翻訳:Shigeyan