Los Angeles Report : Summary of Campaign
キャンペーンで集まった署名を TP&HB の関係者サイドに提出する際に添えたレポートです。日本の音楽状況なども踏まえて、キャンペーンの内容をまとめています。
「TP&HB日本公演実現キャンペーン」のサマリー報告
1999年1月10日~2000年12月31日まで約2年間のキャンペーン期間を通じて、寄せられた署名の数は765件でした。手段としては web を通じての署名が「520」件、それ以外の方法(郵送、FAX、e-mail 等)での署名は245件でした。署名はこの2年間で平均的に増えていて、今後もキャンペーンを続ければ更に増加したものと思われます。
集まった署名の数をみると、確かに少ないと思われるでしょう。これは音楽業界において、素人である我々のプロモーション力の不足によるところが大きいのです。署名を集めるためのプロモーションは、web と一部首都圏のCDショップに置かせてもらったチラシ類のみで、非常に限定されていました。マスメディアは利用しておらず、このキャンペーンが日本中のファン全てに行き渡った訳ではありません。
居住地のアンケートに答えているのが署名者の一部のみ故に、我々の持つデータは不完全なものです。手元にあるデータを表1に記します。
表1: 地域毎の署名件数
地区名 | 代表都市 | 県名 | 署名件数 |
関東地区 | 東京 | 東京 | 164 |
横浜 | 神奈川 | 62 | |
(千葉、埼玉) | 44 | ||
(茨城、群馬) | 4 | ||
北海道 | 札幌 | 北海道 | 5 |
東北 | 仙台 | (宮城、山形) | 9 |
上信越 | (長野、新潟、福井) | 4 | |
中部 | 名古屋 | 愛知 | 7 |
(岐阜、静岡) | 4 | ||
関西 | 大阪 | 大阪 | 42 |
(京都、奈良、兵庫) | 11 | ||
中国 | 広島 | (岡山、広島) | 2 |
四国 | (愛媛、徳島) | 1 | |
九州 | 福岡 | 福岡 | 5 |
鹿児島 | 1 | ||
total | 365 | ||
日本国外 | 6 | ||
不明 | 394 |
( )は代表的な県をまとめた
次に、既にご存知のことかと思いますが、日本における状況も簡単に報告します。
日本では独自の国内音楽市場がありますが、英米の音楽は音楽市場においてとても重要な位置を占めており、需要はかなり大きく、日本では毎日のように世界中のアーチスト達によるコンサートが開かれています。特に過去数年間においては、アメリカ・ヨーロッパの大物アーティスト達が日本ツアーを大成功に収めており(表2)、コンサートの数は年々上昇傾向にあります。
表2: 近年、東京で行われた代表的なロック・コンサート
- Brian Wilson (Jul 1999; Tokyo International Forum ×3)
- Eric Clapton (Nov 1999; Budokan Hall ×8)
- Aerosmith (Dec 1999-Jan 2000; Tokyo Dome)
- Red Hot Chili Peppers (Jan 2000; Budokan Hall ×2)
- Santana (Apr 2000; Tokyo International Forum ×2, extra show at Budokan Hall ×1 )
- Bon Jovi (Jun 2000; Tokyo Dome ×2)
- Phish (Jun 2000; Shibuya On Air East, Zepp Tokyo (extra show), Hibiya Outdoor Amphitheatre)
- The Smashing Pumpkins (Jun-Jul 2000; Budokan Hall, Tokyo International Forum (extra show))
- Jeff Beck (May-Jun 1999, Dec 2000; Tokyo International Forum ×3, Tokyo Bay NK Hall)
- Limp Bizkit (Jan 2001, Makuhari Messe ×2 (approx. 20,000))
また、最近ではロック・フェスティバルが日本におけるロックの風物詩となりつつあります。特に Fuji Rock Festival は今や世界中にその評判が知れ渡り、 Oasis のようなアーティストは自らプロモーター(Smash Japan)にフェスティバル出演を申し出ている程です。安全・清潔(ゴミは殆どと言ってよいほどありません)は他のどこのフェスティバルでも見られない程の誇れるレベルです。これまでこのフェスティバルで演奏してきたアーティストたちを表3に記します。
なお、Fuji Rock Festival は夏のロック・フェスティバルとして1997年に開始され、過去2年間は新潟県の苗場にて行われています。苗場は美しい冬のスキー・リゾートで、東京から約100マイル(新幹線で2時間)に位置しています。昨年は3日間の開催期間中のべ70,000人が参加しました。本年は7月27日~29日に行われる予定です。
このフェスティバルの成功を受け、昨年、別のプロモーター(クリエイティブマン)が Summer Sonic というフェスティバルを開始し、James Brown、Weezer 、Green Day などが出演しました。
表3: Fuji Rock Festival に出演したアーティスト
Beck / The Black Crowes / Rage Against The Machine / Phish / ZZ Top / The Foo Fighters / A Perfect Circle
最近の平均的なコンサート・チケット料金は7,000~10,000円($70~100)です。日本の物価が高いとはいえ、これは中々高額な出費です。とはいえ、人々は自分の好きなものに対しては躊躇なくお金を支払う傾向に有り、多くのコンサートはソールド・アウトです。はるばる日本まで来てくれるアーティストたちに対する熱意および敬意の表れではないでしょうか。言うまでもなく日本ツアーの頻度はアメリカのそれと比べると少なく、それ故に、アーティストの固定ファンのみならず、他の音楽ファンもコンサートに集まります。
今年2~3月には The Wallflowers と Bob Dylan の来日公演が予定され、こちらの音楽ファンの間では大きな話題となっています。招聘は日本のトップ・プロモーターであるウドー音楽事務所です。以下に彼らの公演状況をお知らせしておきます。
The Wallflowers は初来日で、東京で2回と大阪、名古屋、福岡でそれぞれ1回の公演を行います。東京公演は収容人員数2,318名の渋谷公会堂、大阪・名古屋・福岡もそれぞれ2,000名前後の会場を利用します。チケット料金は6,000~ 7,000円($60~70)です。
Bob Dylan は4年ぶりの来日で、2月~3月にかけて行われる日本ツアーはかつてないほどの規模で行われます。公演は大都市のみならず、通常来日公演の行われることが少ない小都市も含まれています。仙台、秋田、大宮、東京(3回)、横浜、浜松、名古屋、大阪(2回)、広島、福岡と、18日間に13公演、10都市を回ります。東京ではキャパ 13,499人の武道館公演に加え、追加公演としてキャパ 5,012人の東京国際フォーラム公演が2回予定されています。チケット料金はいずれも8,500~9,500円($85~95)です。
勿論、これは例外的かつ壮大なツアーであり、他のアーティストには当てはめにくいです。多くのアーティストは東京、大阪を中心に(名古屋、福岡などの)数都市をプラスした予定を組む場合が多いです。東京、大阪の首都圏はいずれも 1,000万人以上の人口があります。また、文化圏はこの地域を中心に形成されており、周辺地域の人々は首都圏へと集まる傾向があります。
日本の面積はカリフォルニア州のそれより小さく、東京から名古屋・大阪への所要時間は新幹線でそれぞれ2時間、3時間です。アメリカと比べて公共交通網は使い勝手よく整備されており、都市間の距離も近いのです。熱心なファンでしたら、公演を楽しむために日本中を回ることを苦には思わないでしょう。
さて、話題を TP&HB に戻します。
署名とともに寄せられたメッセージをご覧になって、日本のファン達がいかに彼らを観るのを心待ちにしているか、お分かりになって頂いたかと存じます。距離的・金銭的・時間的な要素に関係なく、来日が実現するならば必ずコンサートへ行く、というファン達の決意が数々の署名に象徴されています。
勿論、今回我々が集めた署名が来日公演を開くための決定打でないことは重々承知しています。我々は現在の日本の音楽ビジネスについてまとめましたが、計画するにあたって情報量が充分でないかもしれません。実現するにあたってビジネス的に多くの大きな障害、特に高額の費用が問題となることはこちらも承知しております。
しかし、日本には TP&HB の音楽を待ち望んでいる人達が沢山いることをくれぐれもご理解下さい。比類ない、夢のような彼らのコンサートを見られないのは余りにも悲しすぎます。
我々のような日本のファンがいることを TP&HB にお知らせ頂ければ幸いです。そして、是非とも日本公演の可能性についてご検討下さるようお願い申し上げます。日本にいる全てのファンを代表して、我々の希望が貴方および TP&HB に届き、この夢が実現することを心待ちにしています。
最後にはなりましたが、このような機会を与えて頂き、改めて感謝致します。