May-2020(Related)

R.I.P. Little Richard

5月9日朝、Little Richard がテネシー州タラホーマで亡くなりました。87歳。いち早く訃報を伝えた Rolling Stone 誌のサイトに掲載された記事によれば、死因は明かされていないとのこと。2012年にライヴの直後に体の不調を訴え、翌年には「もうやり残したことはないので引退した」とインタビューで語っていました。

1932年12月5日に12人兄弟の3番目としてジョージア州メイコンに生まれた Little Richard。父親は密造酒のバイヤーでしたが、親戚に牧師がいたおかげで幼いころから宗教に触れ、教会で歌うようになりました。子供の頃の地元の友人の中には不世出のシンガー Otis Redding がいたそうです。早くから音楽活動を始めましたが、父親が殺害され残された家族を支えるために、皿洗いのバイトもやらなければならないほど苦しい時期もありました。そんな皿洗い中に口ずさんだメロディから生まれたのが、彼の名前を世に知らしめた”Tutti Frutti” “Long Tall Sally”といった永遠の名曲たち。それからの活躍は多くのみなさんが知るところでしょう。

後のミュージシャンへ与えた影響は計り知れないものがあり、もし Little Richard がいなければ Paul McCartney の人生は今とは全く違ったものになっていたことでしょう。もしかしたら The Beatles も我々が知っているのとは全く別のバンドになっていたかもしれません。

TPとも親交があり、2001年6月21日にマリブで行われた Dana 夫人との結婚披露パーティーでは立ち会いの牧師を務めました。公式 SNSには結婚披露パーティーの写真とともに追悼コメントを掲載しています。また、TP&HB はライヴでは“Lucille” “Rip It Up”などをカヴァーしています。

アフリカ系アメリカ人として差別を受け、ゲイであることで奇異の目に晒され、神への帰依とショービジネスへの復帰を繰り返し… まさに波乱万丈の生涯を駆け抜けていきました。ロックンロール界の伝説がまた1人いなくなってしまいました。悲しいですね。

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TP&HB カヴァー*7題

1)プログレ界のアーティスト3名(Neal Morse、Mike Portnoy、Randy George)によるカヴァー企画アルバムに”Runnin’ Down A Dream”が収録されます。Morse/Portnoy/George名義で7月24日発売予定のアルバム『Cov3r To Cov3r』には他にも King Crimson “One More Red Nightmare”、Lenny Kravitz “Let Love Rule”などが収録されます。

なお、このカヴァー企画はそのタイトルの通り3作目ですが、全2作もかなり聴き応えがあります。個人的には1枚目『Cover To Cover』の”Pleasant Valley Sunday” (The Monkees)、2枚目『Cover 2 Cover』の”Crazy Horses” (The Osmonds)のカヴァーが大好きです。


2)シンガー/女優の Mandy Moore と Dawes のヴォーリスト/ギタリストの Taylor Goldsmit がインスタグラムで“Insider”のカヴァーを披露しました。2年前に結婚した夫婦ならでは、息のぴったり合ったハーモニーで心を癒やしてくれます。余談ではありますが、Mandy は再婚で前夫は Ryan Adamsです。


3)ラスベガス出身のロックバンド The Killers が“The Waiting”のカヴァーを披露しました。米TV局CBSの<This Morning>の中で演奏したもので、CBSのサイトで視聴できます。

アコースティック・ギターとヴォーカルのみのシンプルなアレンジで楽曲の良さを改めて感じさせる内容です。ギターを担当しているのはドラマーの Ronnie Vannucci Jr.ですが、かなりの腕前です。なお、彼らは過去のライヴでも同曲や”American Girl”を演奏してきました。


4)Charlie Benante(メタルバンド Anthrax のヴォーカリスト)がパートナーの Carla Harvey(メタルバンド Butcher Babies のヴォーカリスト)とともに演奏した“Yer So Band”の映像を公開しました。

Charlie はメタルにとどまらない圧倒的な歌唱力を持っていて、Journeyのトリビュート・バンドを結成したくらいです。しかし、ここではその歌声を封印して Carla にヴォーカルを任せ、独特の雰囲気を醸し出しています。バックの演奏は原曲にかなり忠実で電子ドラムの使用が実に良い味を出しています。


5)カナダ・モントリオールのロック系ラジオ局 CHOM の DJ たちが“I Won’t Back Down”をカヴァーしました。モントリオール市民にこの曲のメッセージを伝えたかったとのことです。上手い人もそうでない人もいますが、その実行力が素晴らしいです。


6)新型コロナウイルスのロックダウンにより子供たちが自宅学習となるのは世界的な心配事です。5人の子供を抱えるアメリカの一家(Williams Brood 家)は、親子双方の大変さを”Free Fallin'”の替え歌で吐露しました。そのタイトルは“Home Schoolin'”。歌詞が分からなくても、画像を見ていると言いたいことは大体分かるはずです。暖かい気持ちになりたいときに是非!


7)Ryan Adams との交流や「ニューヨークのロックンロール詩人」と評される深い味わいのある作品で知られている Jesse Malin が4月に発売したシングル”Backstabbers”のカップリングとして”Crawling Back to You”をカヴァーしました。

彼の YouTubeチャンネルにオフィシャルオーディオ動画がアップされています。アコースティックギターとヴォーカルをメインにピアノが絡むアレンジは美しく、かつ聞くものを切ない気持ちにさせます。

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